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 世界遺産:泰山  (10.06.02)






所在地山東省

 長い歴史において、初めて泰山に登ったのは秦の始皇帝とされています。始皇帝はそこで祭壇を築いて天を祀り、感謝の意を示し(「封」と呼ぶ)、山を降りて麓に祭壇を築き地に感謝を表し(「禅」と呼ぶ)ました。封建時代の泰山の「封禅」はこれが起源になったのです。始皇帝が泰山で行った「封禅」の儀式は、中国の歴史で初めて誕生した中央政権制の大帝国を示し、天地に向かって自分の即位を報告するものでもあり、泰山そのものが統一政権のシンボル的存在となったのです。
 100年ほど後、知略家で名を馳せた漢の武帝は何年も下準備して封禅実行を計画していた時、封禅の大条件として、①敵をさらえて治世を実現し天下を統一する、②天下泰平と長い平安、③吉祥を示す天象が頻繁に起こる、の3点を挙げました。しかし、後漢の光武帝から、封禅の意義について変化が生じてきました。光武帝は自分が始皇帝や武帝のような功績を立てていないことを恥ずかしく思っていたものの、建武32年(西暦56年)、泰山に登ってついに封禅を実行しました。これ以降、泰山の封禅は覇王を示す特許的な行動ではなく、それほど権勢が大きくない皇帝らも次々と泰山で儀式を行うようになったのです。さらに、唐の中興の祖・玄宗からは、帝王の考える泰山の地位に変化が生じてきました。玄宗は泰山を「天斉王」とし、泰山は「天」と同等とはいえ「王」クラスになったのです。過去の帝王らが神と仰いだ泰山の地位は、とても低くなってしまいました。

 泰安市の通天街は泰山に登る道の起点です。通天街の突き当りが岱廟で、岱廟は封禅の出発点として古代の帝王が儀式を行う際に宿泊したところです。廟内の建築で特に優れた正陽門、配天門、仁安門、天貺門などは、南北400メートルに走る道を中軸として配置されています。中国の古代三大宮殿の一つとして有名な天貺殿は大きな石台の上に建てられ、神権と王権を示す偉大なものです。

 2400年前の秋晴れのある日、春秋乱世の偉大な思想家・孔子が泰山に登りました。その時に孔子が立ったという岩の上に、清代の泰安の太守が次のような言葉を残しました;「孔子聖中之泰山、泰山岳中之孔子」。孔子から始まって2000数年の間、歴代の文人墨客らが次々に泰山を訪れました。また、著名な詩人らが泰山を詠んだ詩は1,000首近くもあり、詩や言葉の一部が刻まれた泰山の岩も、泰山文化を語るときに欠かせないものの一つです。

 泰山は1987年に世界自然および文化遺産に登録されました。泰山は豊富な自然資源だけでなく、黄河や万里の長城、長江などと同じく中国のシンボルの一つとなっています。

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